ファクタリングのリスクとデメリット

これまでのコラムを読んでいただいた方には、ファクタリングが売掛債権を売却することによって本来の期日より前に、そして早期に資金調達ができる手段であること、借入れではないため負債を追わないで済むこと、さらには、キャッシュフローの改善にも役立つということがおわかりいただけたかと思います。

ただ、ファクタリングにもリスクやデメリットもあります。今回は、ファクタリングを利用する際に知っておきたい、リスクやデメリットについてご紹介していきます。

手数料がかかる

ファクタリングは売掛金という資産を買い取ってもらって資金調達する仕組みですが、当然ながらそのままの金額で買い取ってもらえるわけではありません。融資でいう金利と同じく、手数料がかかってきます。

たとえば100万円の売掛金に対して5%手数料がかかるファクタリング契約だとすれば、単純計算で5万円を手数料としてファクタリング会社に支払い、現金として残るのは95万円となります。もともと現金で入る予定だった売上金が減ってしまう点は、デメリットであるといえます。

また、一般的に融資の金利に比べるとファクタリングの手数料は割高です。銀行などの融資の場合、金利は1.5〜5%です。ファクタリングの場合、会社によって多少変わってきますが、3社間のファクタリングで最低2%〜、売掛先に知られない2社間のファクタリングは平均的に10%前後ほどと言われます。

3社間ファクタリングの手数料が比較的割安な理由は、売掛先企業をしっかり審査でき、なおかつファクタリング会社が売掛先企業から直接回収できるからです。 2社間ファクタリングの手数料が割高な理由としては、売掛先企業の状況をしっかり審査できないことによるリスクがあるためです。

ただ、最近では2社間のファクタリングでも、2%〜という会社も出てきています。融資に比べるとそれでも少し高めですが、手数料が多少高くついてしまっても早期に資金調達できるなどのメリットを享受するほうがよい場合も少なくありません。デメリットとメリットを比べながら、状況によってファクタリングを活用する判断をするのが望ましいでしょう。

 

3社間ファクタリングの場合、売掛先への承諾が必要

これまでファクタリングの主流は、①ファクタリングを利用する会社②ファクタリング会社③売掛先の3社間で契約をする「3社間ファクタリング」でした。3社間ファクタリングは最近増えつつある2社間ファクタリングに比べて、手数料が割安というメリットがあります。しかしこの3社間ファクタリングを利用する場合は、売掛先に「売掛債権をファクタリング会社に譲渡していいか」の承諾を得る必要がある点がネックです。

売掛債権の譲渡は欧米においては非常にメジャーな資金調達方法ですが、日本ではまだ一般的とは言えません。そのため「経営が危ないのでは?」という邪推につながり、その後の取引などに悪影響を及ぼす可能性があります。

経営を安定させるために資金調達をするのに、企業の信用度が下がってしまっては意味がありません。3社間ファクタリングの場合は、このリスクを鑑みた上で利用を考えるべきでしょう。

ただ、2社間のファクタリングであれば、このリスクを回避することができます。

 

債権譲渡登記が必要な場合がある

「登記」とは法律で定められた一定の事柄について帳簿や台帳に記載することです。会社経営をされている方であれば、「法人登記」した経験もおありだと思いますが、この登記によって、第三者に対して権利が主張できるようになります。

「債権譲渡登記」とは法務局にある登記簿に売掛債権が譲渡された旨を記録することで、「債権の譲渡」が法的に証明されます。

では、この債権譲渡登記がなされると、ファクタリングを利用する会社にとってどんなデメリットがあるのでしょうか。

それは、債権譲渡登記によって情報が公開され、売掛先である取引会社にファクタリングを利用していることが知られてしまうことです。この知られてしまうリスクは3社間に限らず、2社間ファクタリングがメインの会社でも、債権譲渡登記を必須としている場合もあるため、ファクタリングのデメリットとして知っておくべき事実でしょう。

ただ、登記の留保を提案したり、積極的な登記はしない方針のファクタリング会社もあります。また、登記をしたからといって、必ずしもその事実が取引先に知られるとも限りません。

 

諸費用が発生する場合がある

住宅購入などの経験があればわかるかと思いますが、ファクタリング手数料だけではなく、収入印紙代、場合によっては審査料などの諸費用が発生する会社もあります。

そのほかにも、債権譲渡登記を行う場合は登記費用や公正証書作成料なども別途必要となるケースがほとんどです。

この諸経費の設定はファクタリング会社によって異なりますが、ファクタリングを利用する際は、手数料だけではなく諸費用が発生する可能性があることを、デメリットとして念頭におくようにしてください。

 

小口の売掛金額だと断られる場合も

小さな会社や個人事業主にとって、大きなデメリットとなるのがこれかと思います。資金繰りに一役買うファクタリングですが、一定金額以上でないと買取に対応していないファクタリング会社もある点は注意が必要です。

以前、独立したばかりのシステムエンジニアのお客様が「開業したてで資金がなくファクタリングの利用を考えたが、100万円以上でないと買取できないと断られた」と相談に見えたことがあります。個人事業主であれば、100万円以下、数十万円ほどの売掛金がほとんど、といったケースも少なくありません。

ただ、最近では10万円程度の小口でも、ファクタリングが可能な会社も増えてきています。個人事業主は特に、そういった小口の売掛債権の買い取りにも対応しているファクタリング会社を利用することをおすすめします。

 

リスクやデメリットとメリットを比較して利用を判断

ファクタリングは、銀行融資を断られたり、赤字決算が続いていたりしていても売掛債権さえあれば利用できる魅力的なサービスではありますが、メリットばかりではありません。ですが、今回お伝えしたファクタリングのデメリットは、利用する状況やタイミングによってはメリットの影響のほうが上回ります。また、使い方によって回避できるデメリットもあるので、うまく活用して資金調達しましょう。

次回は、ファクタリングを利用する際の注意点と、気をつけたい悪徳業者・違法業者についてご紹介します。

 

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